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column 2026.04.02 約8分

【タイ生活と法律】外国人はタイで家を買える?借りる?|土地・コンドミニアム・賃貸のルールをやさしく解説

タイで暮らす日本人向けに、外国人の不動産所有・賃貸ルールをわかりやすく解説。「土地は買えない」「コンドミニアムは買える」の違いから、30年リースの落とし穴、ノミニー(名義貸し)の危険性、賃貸契約のチェックポイントまで2026年最新版でまとめました。

【タイ生活と法律】シリーズ第3回です。前回はビザ・ワークパーミット・90日届出についてお届けしました。今回は、タイに赴任・移住する方が最初に直面する「住む場所」の問題を取り上げます。「外国人はタイで家を買えるの?」という疑問に、法律の観点からお答えします。


1. まず結論 — 外国人はタイで「土地」を買えません

最初に知っておくべき大原則があります。

外国人はタイで土地を所有することができません。

これはタイの土地法(Land Code B.E. 2497)の第86条に明文で定められています。ビザの種類・滞在年数・投資額に関係なく、この原則は変わりません。LTRビザ(長期居住ビザ)やThailand Privilegeビザを持っていても、土地所有権は付与されません。

違反した場合の罰則は、同法第111〜113条により最大2年の懲役または2万バーツの罰金(あるいは両方)が定められています。

ただし、「土地は買えない」=「不動産は何も持てない」というわけではありません。以下の3つの方法があります。

  1. コンドミニアムを自己名義で購入する(最もシンプル)
  2. 土地をリースして建物を所有する(一戸建て・ヴィラ)
  3. 賃貸で暮らす(駐在員に最も多いケース)

2. コンドミニアムなら自分の名前で買える

外国人がタイで唯一、自己名義で**所有権(Freehold)**を持てる不動産がコンドミニアムです。根拠はコンドミニアム法(Condominium Act B.E. 2522)の第19条です。

「49%ルール」とは

外国人が所有できるのは、1棟のコンドミニアムの販売可能総面積の49%までです。残り51%以上はタイ人が所有していなければなりません。

この「外国人枠」は棟単位で管理されており、人気エリアの人気棟では枠が埋まっているケースもあります。購入前に「外国人枠の残り」をジュリスティック事務所(管理組合事務所)に確認することが重要です。

購入の絶対条件:海外送金+FETフォーム

コンドミニアムの購入資金は海外からタイへ外貨で送金し、タイ国内でバーツに両替することが条件です。タイ国内で貯めたお金(バーツ)でそのまま購入することはできません。

送金を受けた銀行から発行される「FET(Foreign Exchange Transaction)フォーム」は、土地局での所有権登録に必須の書類です。なお、米ドル換算で5万ドル相当以上の送金では銀行がFETを自動発行する義務がありますが、それ以下の金額でも購入目的を伝えれば発行してもらえます。FETは必ず取得してください。

購入時にかかる費用

費目税率備考
移転手数料(Transfer Fee)2%不動産鑑定評価額ベース。売主・買主で折半が慣行
印紙税(Stamp Duty)0.5%※ SBTと二者択一
特別事業税(SBT)3.3%5年以内の売却・登録5年未満は印紙税に代えてSBTが課税
源泉税(Withholding Tax)変動売主の属性・保有期間により算出

「アパート」と「コンドミニアム」は法的に別物

注意点として、外国人が所有権を得られるのは、コンドミニアム法に基づいて登記されたコンドミニアム(Condominium Juristic Person)だけです。「サービスアパートメント」や一般的な「アパート」はこれに含まれないため、賃貸はできても所有権は取得できません。

なお、2024年に外国人がタイで取得したコンドミニアムの移転件数は14,573件(不動産情報センター・REIC統計)でした。


3. 一戸建て・ヴィラ — 「土地は借りる」が現実的な方法

プール付きの一戸建てやヴィラを希望する方には、以下の方法が現実的です。

30年リース(最も一般的)

民商法典(CCC)第540条は、不動産の賃貸借期間の上限を30年と定めています。この30年リースで土地を借り、土地上の建物を自己名義で所有する、という構造が一般的です。

3年を超えるリースは、同法第538条に基づき土地局(Land Office)への登記が必要です。登記しない場合、第三者に対して対抗できません。

「30+30+30年リース」の注意点:
「将来30年ずつ更新できる」という条項を契約書に入れることはできます。ただし、2025年3月18日の最高裁判決(事件番号4655/2566)で「事前合意による自動更新条項は法的に無効」と確定しました。更新は新たな合意が必要であり、地主が同意しなければ更新は保証されません。

リース終了時の建物はどうなる?

リース(賃貸借)の場合、民商法典には「借主が自費で建てた建物を地主に買い取らせる権利」の明文規定がありません。リース終了時に建物をどうするかは、契約書に定めがなければ実務上グレーゾーンになります。

**地上権(Superficies、最長30年)**は物権として登記でき、借主が「建物を所有している」ことを第三者にも主張できる点でリースより強固です。ただし、民商法典第1416条の仕組みを理解しておく必要があります。

地上権が終了したとき、選択権は地主側にあります:

  • 地主が「建物を撤去して土地を返せ」と要求する — 実質的に借主負担での解体
  • 地主が「建物を時価で買い取る」と申し出る — これは地主の権利であって義務ではない

つまり、地主が「撤去せよ」と言えば、借主は建物投資を回収できないまま退去することになりかねません。

実務上の結論:契約に「買取義務条項」を入れることが唯一の実効的な保護です。

「リース(または地上権)終了時に地主が建物を時価で買い取る義務を負う」という条項(Building Purchase Obligation Clause)を明記し、以下の点もあわせて合意しておくことが重要です:

  • 時価の評価方法・評価者(紛争の温床になりやすい)
  • 地主が交代した場合の義務の承継
  • 支払いが履行されない場合の担保・エスクローの設定

用益権(Usufruct)も土地局登記が必要で、個人は生存中・法人は最長30年有効ですが、建物投資保護の問題は地上権と同様に契約条項に委ねられます。

これらの仕組みは複雑で個々の事情による部分が大きく、長期リース・地上権・用益権を検討する場合は、当事務所を含むタイの不動産専門弁護士への相談を強くおすすめします。

配偶者がタイ人の場合

タイ人配偶者が土地を購入することは可能です。ただし土地局から「外国人配偶者の資金が混入していない」という宣誓書への署名が求められます。宣誓書に署名した場合、外国人配偶者はその土地に対する法的な請求権を放棄したことになります。離婚した場合、土地は基本的にタイ人配偶者のものになります。


4. ノミニー(名義貸し)は絶対にダメ

「タイ人の友人に名義を貸してもらって会社を作り、その会社で土地を持つ」という方法(ノミニー構造)は、外国人事業法(FBA)に違反する違法な手法です。

現在、大規模な取締りが進行中

タイ商務省事業開発局(DBD)がAIシステム(IBAS)を使って不正な会社構造を自動検出し、現在46,918社以上が調査対象となっています。バンコクのほかサムイ島・パンガン島等の観光地でも集中的に取締りが行われています。

罰則は非常に重い

外国人事業法(FBA)第36〜37条に基づき:

  • 最大3年の懲役
  • 最大100万バーツの罰金
  • 土地の強制売却命令(合理的な期間内に処分できなければ国が競売にかけることができます)

加えて、前述のLand Code第111〜113条の罰則も適用される可能性があります。「知らなかった」は言い訳にならない、というのがタイの立場です。


5. 賃貸で暮らすなら — 契約のチェックポイント

タイに赴任する駐在員・帯同家族の多くは、コンドミニアムまたはサービスアパートメントを賃貸します。

一般的な契約条件

項目内容
契約期間1年が標準。短期(3〜6ヶ月)は割高になるケースが多い
デポジット(敷金)通常2ヶ月分。退去時に返還(修繕費・未払い分を差し引いた後)
前払い家賃通常1ヶ月分
中途解約契約書の規定による。多くは違約金あり(残期間家賃の一部)

賃貸契約を結ぶ前に確認すべきポイント

① タイ語版が法的に優先される
契約書はタイ語と英語の二か国語で作成するのが望ましいですが、内容に食い違いがある場合はタイ語版が優先されます。英語版だけで内容を理解したつもりになっていると、思わぬトラブルになることがあります。

② デポジットの返還条件を明確化する
退去時のデポジット返還トラブルは最も多い紛争の一つです。契約書に「退去後何日以内に返還」「どのような修繕費は差し引けるか」を明記しておくことで、トラブルを防ぎやすくなります。

③ 修繕責任と共益費の負担者を確認する
一般的には小修繕(蛍光灯・シャワーヘッド等)はテナント負担、大修繕(エアコン・給湯器等)はオーナー負担とされることが多いですが、必ず契約書で確認してください。コンドミニアムの共益費(Common Fee)がオーナーとテナントのどちら負担かも確認事項です。

④ 内見時に必ず確認すること
水回り(水圧・水漏れ)、エアコンの効き具合、カビ・虫の跡(特に雨季は要注意)は内見時に確認してください。入居後に発覚した既存の損傷は、入居時の写真を撮っておくことでデポジットトラブルを防げます。

⑤ 法人契約の場合は源泉税に注意
会社として賃貸契約を締結する場合、会社はオーナーへの家賃支払いの際に家賃の5%を源泉徴収する義務があります(実務上の慣行として広く行われています)。個人名義での賃貸契約では不要です。

2025年のOCPB新規定(コンドミニアム予約購入)

コンドミニアムをオフプランで予約購入する場合は、2025年1月31日施行の**OCPB告示(消費者保護局告示)**も確認してください。標準契約条項の義務化と、デベロッパーによる予約金の不当没収を禁止する消費者保護規定が新たに整備されています。


6. まとめ — 住む前に知っておくべき3つのルール

ルール内容
① 外国人はタイで土地を買えないコンドミニアム(Section 19、49%枠)のみ所有可能
② 賃貸契約はタイ語版が法的に優先内見・署名前に内容を専門家に確認するのが安心
③ ノミニーは違法・現在取締り中AIが検出。最大3年懲役+100万バーツ罰金

参考:99年リースについて
「外国人でも99年の長期リースができる」という話を耳にすることがありますが、2025年9月に政府が立法化を棚上げにしています。2026年4月時点では未制定です。


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この記事は2026年4月時点の一般的な情報をまとめたものです。不動産の購入・賃貸は個々の事情により異なりますので、具体的な取引については弁護士または不動産専門家にご相談ください。本記事はタイの法制度に関する一般的な情報提供を目的としており、タイ法に基づく法的助言を構成するものではありません。具体的な案件については、タイの弁護士資格を有する専門家にご相談ください。当事務所では提携先JTJBのタイ人弁護士と連携して対応いたします。

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